2010年2月28日日曜日

映画「浅草堂酔夢譚」

 今日13時から、5月5日に撮影される映画「浅草堂酔夢譚」の現場リハーサル。
http://a-suimutan.com/about/

 世界最長の99分ワンカット映画。最初から最後まで一台のカメラだけでの長回し。 
 浅草公会堂に本番には1000人の観客兼エキストラの前で、フロント、大ホール席と舞台、三階席と三階ロビー、階段、舞台袖、楽屋通路、楽屋、また舞台へとカメラと俳優が移動しながら99分の撮影と演技が進行する。 
 映画の時間としては、18年前の回想シーンを除けば、5月5日の数時間。

 父と娘のすれ違いの物語で、さあ99分後の二人の結末はどうなるか。懐中時計とケータイ、似顔絵、紙芝居、母の死亡年齢と娘の誕生日などが伏線になって後半で回収されていく。
 謎の紙芝居師の予言の鍵になるのが黒い服を着たマジシャンと双子の従者になる。 このマジシャンは俳優との雰囲気に合っていて想定以上にハマリ役になるだろう。

 今日は現実の大江戸バンドセッションというバンド大会の実演中の間をぬってリハーサルが続いていた。 若い俳優やスタッフらの熱気とか礼儀正しさが素晴らしい。
 
 99分のワンカット映画に18年間の物語を描写するということは、カメラの動きだけを中心に時間軸を組み立てなければならない。 そのため実際の脚本を読むと、どうも聞いた話と違うような、えー?と意味不明のとことがあったのだが、今日すべての疑問が氷解した。 

 企画と脚本とも、脚本と演出とも、まして視聴者の印象も違う。私の読みの浅さに反省した。
 たぶん俳優にも一部はよくわからないまま参加した人もいたようだ。 
 このあたり映画経験ないと誤解されかねない鬼門があることを実感した。(全編ワンカットなんだから頭の切り替えが難しい。本当に難しい)
 すべてを理解している、そもそもの企画をし、これを一年以上前から提案を受けながらいまいち納得できなかった私とはもちろん違う、脚本兼務の荻野監督ならでは。

 5月5日は撮影日だが99分の全ての演技も撮影も行われ、映画版で追加されるのはエンドロールと画面中のスーパーだけという、まあ「エキストラ体験」と同日に「映画試写会ご招待」にちかい。


 
 


 

2010年2月24日水曜日

入院生活

 過労で倒れた知人の見舞いに行ってきた。検査入院のようなもので深刻ではないのだが、点滴でつながれたままでツラそうだ。

 ふと私が入院した頃を思い出した。最初は大阪大学病院でアトピー(当時は皮膚病と言われていた) 幼稚園の冬ごろに三ヶ月はいたと思う。手足に包帯を巻いているだけの幼児だけに病院内をいつもうろついて看護婦さんを困らせていた。阪大病院は当時は中之島という都心にあって上の階からは淀川が見える。 あまりセキュリティなどない時代で、検査室とか倉庫とか研究室などにもこっそり忍び込んだり、階段で屋上にあがると鍵もかけてないし柵もない。恐る恐る這って屋上の端まで行って見下ろすと、背中に戦慄が走る。まだ幼い弟がいるので完全看護で一人だった。子供の入院患者は見たこともない。珍しがって可愛がってくれるし、まあ楽しい思い出しかない。でも退院で父の同僚に車で送ってもらった情景は鮮明に覚えていることから、退屈で孤独だったのだろう。

 それから転倒での胸骨の圧迫骨折で救急車で北里研究所病院に。絶対安静で手足は自由だが背中をマットにつけたままで、寝返りも起き上がりもできない。 で下の世話もナースコールだが、外科病棟には若いナースしかいなくて閉口した。申し訳ない。

 三度目が急性腎不全で救急車で都立広尾病院へ。左足が腫れ上がり、寝たっきりの点滴生活。大部屋で呼吸器科しか空いてなくて、いびきが異常に激しい。医療事故で問題になって数年後だけに引継チェックが細かすぎる。
 主治医にお願して東海大学病院に転院できてほっとした。

 たとえ骨折で元気でも入院生活というのは前向きな気持ちになるのは難しい。社会とか会社への関心も薄れて、新聞もTVニュースも見ない。単行本もパソコンも根気がない。当時のスケジュールを見ると、医師やナース、点滴薬の変更、検査、シーツ交換なんてことをびっしり書いてある。関心が狭すぎで半径2メートルぐらいにしか興味がないようだ。

 統計局によると日本全国に163万床あるそうだ。(一般病床が91万と精神病床が35万床など)
 その稼働率が90%なら、今、全国には147万人の入院患者が辛い思いをしているのだ。事情で入院できずに自宅か介護施設で同じような状況を含めれば人口の2%がそういう境遇なのか。

 健康は必要だ。

2010年2月6日土曜日

「ユダヤ警官同盟」上下

ユダヤ警官同盟〈上〉 (新潮文庫) (文庫)

マイケル シェイボン (著), Michael Chabon (原著), 黒原 敏行 (翻訳)

 PKディック「高い城の男」のような架空歴史物。 ドイツに原爆の落とされた第二次大戦後にアラスカにユダヤ人自治州が期間限定でできる。イスラエル建国は失敗し、自治州の期限もあと二ヶ月しかない。 その時期にヘロイン中毒のチェスプレーヤーの殺人事件がおこる。被害者はかって天童と言われ奇跡を起こす救世主という噂のある男。 その殺人事件を捜査するアル中の刑事。

 当然だが登場人物はユダヤ人ばかりで、いまいち理解できない文化や言動に悩まされる。表現も詳細すぎて人物や行動を描写するのに1ページ以上使うときもあり、翻訳者も大変だろう。
 物語としてへ展開も早いし、人物とその相互関係も興味深いもので読ませるのだが、日本人としては面白いとか理解できるものだろうか。

 「このミス」海外部門で三位だったが違うような。。