2009年11月5日木曜日

ハサミ男




ハサミ男(SCISSOR MAN)
殊能将之(しゅのう・まさゆき)
講談社文庫 733円+税
1999初刊

ハサミ男 [DVD]
出演: 豊川悦司, 麻生久美子 監督: 池田敏春
参考価格: ¥ 3,990 価格:¥ 3,416

 最近はGEOのDMMの月間レンタルで観ている。安いし面倒でないし本棚が貯まらないからいい。なので気軽にDVD版も観たのだが、絶句した。すばらしい。

 小説の「ハサミ男」は名作で、著者の第一作でいきなりメフィスト賞を受けている。
 結構フェアな序説トリックで、主人公の「ハサミ男」とマスコミに呼ばれる連続少女殺人犯が実は・・というだけでなく、じっくり個人情報を調査した三人目の女子高生を何者かに横取りされる。そこから探偵役も兼ねるのだが、後半でさらに意外な真犯人が明らかにされる。最後の一行は映画「ハンニバル」を思わせる悪い予感で終わる。
 心地よい騙され感とハッピーエンドかアンハッピーエンドなのか分からない結末がいい。いつしか異常心理な「ハサミ男」に共感してしまう。そういう所もハンニバル・レクター博士シリーズに似た印象が残る。

 叙述トリックなので映像化は不可能のはずで、そもそもこんな映画が成立するのか疑心暗鬼で観たが、前半では「もしかして選択枝のつもりか?」と思っていたら処理が上手い。この演技も大変だろう。駄作ホラー「サイレン」の手法なんだが方向性は逆で感動する。

 私は小説読んでから映画を観たが、その逆もまた体験したかった・・ でもどちらか一度きりの経験しか不可能なんだ。