2011年5月22日日曜日

マジックウォンド

スイッチのないリモコンで多少のコツは必要だが遊べます。
kymera magic wand
 ユナイテッドの機内誌にあったのですが直接注文しました。
 魔法の杖を振る方向とか回転でAV機器を赤外線で操作できる。気に入って寝室用と居間用にも追加までも。
 BOSEとビエラは問題ないが、DENONはなぜかうまくいかない。。


「凋落 木村剛と大島健伸」高橋 篤史
 懐かしさも感じられる内容。まさに数年前の金融バブルの時代。当時は私の会社と合弁もあった携帯コンテンツで時価総額500億円あったITが日本振興銀行の傘下になるとは信じられない。のんびり朝まで読書してられる境遇に感謝。


「タワーリング」福田和代
これの時代背景も似ている。六本木ヒルズ森タワーに似た高層ビルでのビルジャック。 
 小説では上層階がレジデンス棟になっているとか設定を変えているが、セキュリティとか防災センターなどはよく取材している。よく森ビルがそこまで応じたものだ。ビルオーナーの微妙かも知れない部分もあるだけに。

 どこかグリコ森永事件からの「レディ・ ジョーカー」高村薫 を連想する、それぞれ訳ありの半シロウトの犯罪者チーム。 主犯はもっと・・だがその設定は少しキツイかな。

 昨日は堀江貴文氏の収監が確定したそうです。 私は訴訟準備をしているときにライブドア事件が起こり、「ハシゴを外された」の逆のような立場でうやむやに。何の感想もない。

 数年前から時代が変わってしまったようです。 まじめにのんびり暮らすのがいいですね。



2011年5月19日木曜日

俺俺

星野智幸「俺俺」新潮社

 大江健三郎賞でさきほど読んだ。書評でもずいぶん賛辞されている。

 主人公が気まぐれに 俺俺詐欺をすると、被害者「母」は主人公を息子と思い込む。
ところが主人公が実家に帰ると、母は怒鳴りはじめ奥から「俺」そっくりな男が出てきて「またか」とつぶやく。アパートに帰ると「母」が来て世話をやく。 実家の「俺」とその知り合いで学生の「俺」と三人で飲み明かすと「俺」同士で気が合い遠慮もなく快適だ。

 ここまでとてもアイデアもいいし話の流れも惹かれる。安部公房とか筒井康隆を足したような進行。 ここまでが1/3で不条理な展開だが読みやすい文章でもある。

 ところが中盤も後半もこのまま続く。  まるで富士急ハイランドのジェットコースターのように、同じようなカーブとダウンの「品質」の繰り返し。もういい降ろしてくれ。  ディズニーシーの「地底旅行」はメリハリがある設計で、もう一度乗りたくなる。あの逆。

 この小説には誰でも、現代社会の・・・という規定しやすそう。 アイデンティティの危機、自己不安、全体主義への誘引とか。。
 さらにここでは、オレオレ詐欺、マクド、家電屋の販売員、地方自治体の窓口、税理士とか、単純労働者以上知能職以下が多い。

 設定のアイデアにあふれ、文章に乱れもないし読みやすい、でも驚きも意外性も感動もない。図書館で借りる本としてはお薦めです。

2011年5月3日火曜日

一年半のストーカー

「 秋葉原耳かき小町殺人事件 」ワニブックスPLUS新書 吉村 達也
 
・殺害犯人     吉川こと林貢二(千葉市美浜区幸町2丁目)41歳会社員
・被害者 まりなこと江尻美保と祖母(港区新橋)21歳
・山本耳かき店  http://www.yamamotomimikaki.com/

2007/12/25 秋葉原山下耳かき店面接。まりなになる
2008/03/05 まりなブログを始める(林が通い始める)
2008/06/08 加藤智大による無差別殺人事件(林が常連客に)
2008/11/00 まりなが新宿店への応援にも林が同行しはじめる
2009/04/05 林を出禁にする
2009/08/03 林がまりなと祖母を殺害
2010/11/01 東京地裁で無期懲役

 吉村達也は200冊以上というすごく多作な推理作家でマジックにも趣味がある。ミステリは何冊か読んだが多作なほど悪くはない。どことなく元マスコミらしい作風です。

 この本は山下耳かき店秋葉原本店公認のまりなのブログ(著者が事件後すぐ保存)と産経新聞の法廷ライブWEBで構成。 店には見学してるようだが直接の取材はない。なので犯人像がよく見えてこない。 偏見のあるこんな写真ぐらい。
http://2009.itainews.com/archives/2009/08/post-1099.html
http://jiken.is-mine.net/MimikakiSatujin/0.html

 林は最初は優良客だった。ただし、まりな しか指名しない。 ブログへの客コメントへのまりなの返答に、林にだけ・・ニャ。とかを付けているのからどうも林は勘違いモードに入ったらしい。p69
 しかしまりなはその頃からすでに林を嫌っていた。 同僚メイドの検事への証言「いいこと悪いことを話しても、いいことしか聞かない。困った人だと言ってました」p74

 この時期は、嫌いながらも上客だけに、ついつい下の名前を教えp128 メールを教えp134 だいたいの住所を話してしまうp208  林はますます勘違い「オレは他の常連とは違う」が激しくなる。

 土日8時間も予約して「耳かき」してもらうなど、入り浸りの異常な来店頻度と滞在時間で、彼女にさまざまな高額なプレゼントを贈り、それにともない増長して、店内で大声を出しp142、手を握ろうとしp164、同伴や店外飲食を誘いだすp186。  彼女が遠い他店での応援にまでついて行き始める。もはや林の生活も変わり経済的にもおかしくなっただろう。

 ---林貢二の脳内回路には、現実の出来事をすべて自分にとって都合のいいプログラムが構築されていたのかもしれない。嘘をついているという認識がないままに、現実と理想的な仮想世界の区別が自分でもつかなくなっている脳--- p190 


 この店の店長は自分では出禁宣言していない。 まりな本人の「もう来ないでください」 「無理です」 だけではストーカーには通じない。

 ---客に対する出入禁止は、店長から正式に通告するもので・・・店長責任で明確に告げるべきだった--- p196
 

 その後で自己中心的に、林は謝罪と和解もどきのメールを何通か送り、それが効果ないとなると、出勤途中で出待ちをし、尾行して自宅をつきとめる。 そしてナイフ2本とハンマーを持って祖母と本人を殺害した。

 著者の、前半の異常についての部分と 後半での ---恋愛感情でなく人形への愛着だ --- との結論は、著者の結尾での主張の ---裁判官や検察官の偏見だ--- よりもさらに間違っている。 著者は私と同年代で、林よりも一回り以上の年上だからおそらく「年齢も倍の男がまさか」が間違いだ。 反論してください。


 死刑でなくてよかったと思う。 江尻美保さんの生きた歳月以上に監獄で苦痛と後悔をしてくれ。



---は著者の感想を引用したもの。「 」は裁判上の証言の引用。( )は私の感想。