2010年12月11日土曜日

すきやばし次郎

 ミシュラン東京版も4年目で、今年も三星を取った寿司のすきやばし次郎こと小野二郎さん。大正14年生で今年85歳。しかし月曜から土曜の昼までカウンターに立って握る。 私の父は大正15年=昭和元年だが絶対無理だろう。 さすがに少し耳が遠いようだが、背筋を伸ばし、よく動き、潔癖症なほど清潔なのは素晴らしい。 

 客席は10席のカウンターと最近は使われてないテーブル席が三つ。満席でも10人の客に対して、二郎さん、長男、サブ、丁稚が二人の五人。 ほとんど言葉による指示もなく、空気を読んで?たまに手振りだけで全体が機械のように流れていく。

 今日は年に数回もない、ヒゲの料理評論家の山本益博さんの食事会という場。おそらく普段は会話の少ない緊張した雰囲気の中で、今日は特別に、マスヒロさんのネタとか二郎さんや店の経歴の説明が一時間にわたり続く。 ミシュランの黒幕とか評論姿勢に批判もあるマスヒロさんだが、ふだんのすきやばし次郎と違う特別感もあり、客層もあるクラブの会員だけに和んだ雰囲気で楽しめる。 土曜の11.30からと13.00からの二部で貸切になっている。

 冬のおまかせの20貫は、かれいやすみいかなど白身から始まり・・赤身、中とろ、大トロが続き、甘いくるまえび、はまぐり、から軍艦巻きが三貫、海苔巻きからデザートのような玉子で終わる。寿司にも会席料理やフレンチのような物語にしているそうだが、形がカプセル状の寿司20貫だけに明らかに分り易く、それ以上に見た目が宝石のように輝き、舌の溶けていく感覚が忘れられない。

 長男は進行、たまに握り、仕込み、築地の仕入れをこなし実質は銀座の店長。次男は六本木ヒルズの支店の店長。 ヒルズ店では二度食べたがあまり記憶ないけど、今夜の夢にも出てきそうな味だ。 

 やはり世界一の寿司職人というか人間国宝に握ってもらったという自己暗示もあるのだろうが、味音痴の私でも盲目でもわかる・・気がする。 価格はそれなりというか高いのだが、毎週という訳でなければ、後悔しない体験だ。