2010年1月17日日曜日

トンデモ本

 題名に引かれてさきほど読んだ本がどちらも妄想本でした。こういう時にアマゾンは立ち読みもできないので困る。アマゾンのレビューの最初か二番目くらいの褒めてるのはだいたい担当編集者が書いているという噂がある。あまりアテにしてはいけない。

  「義経はジンギスカンになった」丘英夫
もともと生年が近い、ジンギスカンの前半生が不明、人気のある義経への願望などから生まれた由緒正しいとんでも伝説なのだが、その最新刊。
 ここでの根拠は、
モンゴル文字にカナに似た字がある、五十音順に近い表がある、蒙古人は皮のはずが鉄の鎧を着ていた、戦術が義経に似ているなど。
 著者は1934年生、大阪外大中国学科、丸紅勤務、蒙古が定年後の趣味らしい。

  「金正日は日本人だった」佐藤守
何冊もの北朝鮮本の引用だけで、ほとんど独自の情報はない。またか・・というような記載のコピペ本。私も1980年からの北朝鮮オタクだけにけしからんとも感じる。
 ただし一点だけ、朝鮮戦争中に金日成に暗殺されたとも噂される金策副総理が金正日の実の父で、なおかつ金策は日本人ハーフの日本軍のスパイだったという妄想が全開している。これは素晴らしい。
1939年生、防衛大学校、パイロット、航空自衛隊空将。定年後の趣味が北朝鮮ものらしい。空の守りは大丈夫だろうか。


 個々の事実はおそらく正しいのでしょう。それら事実の点から著者が恣意的にいくつかの点を選んで、線を結ぶあたりからおかしくなる。 さらに妄想のアクセルを踏んで線と線から面を描くとトンデモ本になる。妄想アクセルで速度が出ると、科学とか事実とか検証とかいう重力がなくなって空を飛べるようになるらしい。
 だいたい義経はいつ蒙古語を習ったのかとか、モンゴル人に源氏だと言っても関心しないだろうし、独裁者金日成主席が政敵の息子を後継者にするだろうか、そんな秘密を周囲に隠せるものか、という都合のいい点の事実がいくつかの前に、根本的な課題があるではないかな。
 専門家とディレッタントの違いがここにある。 ただし週末に読むには気楽でよかった、何の役にも立たないけど。

 「トンデモ本」と言えば と学会の山本弘だが、その「環境問題のウソのウソ」というのもきわどい本だった。確かに批判している武田教授も同じような文章を書きまくっている、どうかと思うのだが、山本弘もトンデモ本ばかり相手にしていると染まってくるのだろうか。

 昔、「滅亡のシナリオ」というトンデモ本の元祖があった。ノストラダムスの予言が的中する?のは予言ではなくて、それが的中するように陰謀団体が仕組んでいるから。というもの
その代表がヒトラーで、ナチスドイツは予言にあわせて、あえて作戦を失敗したり、最後にわざと第三帝国を滅亡させたというもの。 オウム真理教がその説を信じて、自分らも実行しようとしたという噂もありました。

 その著者が精神病院の院長で、世の中なにもかもに暗号が隠されていると信じていたそうだ。カルテからファンレターまで。患者とばかかり相手していると染まってくるのだろうか。
 精神病院の中で最も脳から電波を飛ばしていたのが院長だった・・・ そんな精神科医に診断してもらった患者・・すこし羨ましい気がする。