東野圭吾「カッコウの卵は誰のもの」光文社
最新刊で久しぶりのスキーもの。「鳥人計画」で面白くなかったのと「また鳥か」で先週から買うのを躊躇するが、読みました。 奥付によると発行日が今日になってるじゃないか。これも一種の賞味期限問題じゃないかなw
さすがに東野圭吾で、当然の読者の予想を中盤であっさり明かし、そこから二転三転させて、最後の数ページで伏線を回収する。 語り口、アイデア、100%の悪者がいない読後感のよさ、どれを取っても安心感のある職人の技術。
こういう褒め方でわかると思うが、すこしだけ飽きた。あまりに演繹法で最後のページから順に書いたんじゃないかとさえ疑わしい。ほど
父と娘、父と息子の話として読めばいいのかも。 そういえば母の影が薄い。 これに限らず東野圭吾で印象的な女性が少ない。 広末涼子「変身」 薬師丸ひろ子「レイクサイド」 を除けば、印象薄いか、どこか冷酷な女性像が多い。
「白夜行」のヒロインが一番光っているのも、まるで描写がないからかも。
こんな風にケチつけるのも東野圭吾のミステリが好きだからだけど。
荻野監督が企画中の「浅草堂酔夢譚」という映画も、娘と父が主題で、ぜひとも東野圭吾を越える作品にしてもらいたい。