2011年2月1日火曜日

百夜行

「白夜行」
新宿ピカデリー
堀北真希/東野圭吾

 貧しい戦後からバブル景気までの少女と少年の19年間を二時間半のフィルムに。 原作の小説とかTVドラマも観て、微妙だけど心を震わせるシーンがある。

 1. 時間  原作は1973年から1992年でも少し無理のある時代設定だが、映画では1980年から1999年に。若い監督なので後半を描くならこれしかない。
 2. 場所  原作は大阪南部だが映画では関東の下町らしい。 訛りのない話し方から。 特徴のない遠景。
 3. 人物  原作より分り易く、おかしな人が多い。キャスティングも演技もいいけど。

で、推測だが原作者東野圭吾はあまり演出に合意してないのでないかな。

 撮影技法、美術などは素晴らしい。 カネがかかっているだけでない感性がある。 映画技法の密かなアイデアとか、衣装や髪型やロケなども。 でも脇役の演技指導と編集はいまいち。

 主役の堀北真希は凄い。企画書や脚本だけでなく原作の小説を読んでいるのが分かる。WINKの相田翔子にも似てるけど、私が好きだったコにも似てる。
 時代考証でいいうと、あのスラムは関西の在日か特殊部落もありえる。少なくとも原作では。
ただ同和対策という政治によって、原作でもまして映画でもあの風景はその年代ではありえない。
 私が小学生の頃、転校して来て、すぐにイジメられていた男子や女子がいた。 私は今でもその名を覚えている。 探検のようにそういう貧しい転校生を尾行する遊びをしていた。 映画にあるような原野なんてなくて街しかなく、それが「僕達のアウトドア」だった。

 でも「僕達」から被害を受けた同級生は今・・ 

 私は父母とも公務員中流な生活を送っていたころ、地域が混在する小学校で、歯医者の娘とか和菓子屋の娘が知り合いで放課後で一緒だった。
 ごめんね。

 年俸でいえば今としてはどちらもどっちだが、あの時代では決定的だった。 私はいじめる側に安住していた。
 亮司が殺人も強姦も19年していた理由には否定的だが、気持ちは理解はできる。