小笠原和彦「帰ってきたかい人21面相」現代書館
1984年に関西で発生したグリコ森永事件は東京のしかも若い人はよく知らないだろうが、阪神から京阪沿線の住人にとっては馴染み深い店や場所で展開された一年に渡って演出された劇場事件だった。
とうとう時効になった完全犯罪で、株屋説、同和出身説、北朝鮮関与説などが噂される奇怪な事件だった。
そこでのキツネ目と脅迫テープの少年と思われる二人が主犯として再登場し、五人の失業者と集めて経団連会長を誘拐する。
世界最大メーカー東洋自動車の元社長を三ヶ月かけて監禁したまま、東洋自動車と政府を脅迫する。身代金は内部留保金の一割といっても3兆円!
やや政治的な方向もあるがかい人21面相に興味ある人にはこたえられない小説だった。