貴志 祐介「悪の教典」上下2巻で分厚いのだが読みやすい文体で時間はかからない。
一見さわやかで熱心な高校教師だが、だんだんと不可解な行動が。。 自己中心でネガティブな感情しかもたないサイコパスだった。 自分を守るために殺人を行い、それを目撃した生徒も殺す。 それに気がついた生徒も・・・最後は担当クラス全員を殺しはじめる。 というとんでもない展開がえんえんと続く。 サスペンスというよりロープレのような話。
サイコパスは狂った精神病と違って、普段は常人にも見えるだけにもっと厄介だ。 おかしな言動を批判しても、自分勝手な理屈と意味不明の反論しか返ってない。誰もがだんだん異常性に気がついてくる。 攻撃的な割に小心で、攻撃を隠そうとますます攻撃的になる。
貴志祐介のサイコパスと言えば「黒い家」で保険金詐欺から、犯人が意味のないストーカーに走る恐怖がある。 著者が元生保マンだけに内情が面白く、生保も損保も半分は詐欺だという。車の任意保険以外は必要ないと思う。 保険金も詐欺師に貢いでいるようなものだろう。 jもっと加入時の審査を厳格した商品を作れば保険料も安いし支払い時にスタッフの負担も少ないのでは。
映画版「黒い家」は森田芳光監督で大竹しのぶ主演の割に駄作で、演出が悪いのかキャスティングのせいか過剰な演技と本題に関係ない撮影手法や効果音で退屈だった。
同じ映画でも「青の炎」は二宮和也の演技で余韻が残る。「硫黄島からの手紙」とか「流星の絆」も奥行きのある人物に成り切っている。
「悪の教典」はこのミス2010でも一位になったのだが、去年はこれというミステリが不作だったせいか。
貴志祐介はだいたい読んでいるし、大外れはないけど「黒い家」「青の炎」以外は「クリムゾンの迷宮」がお薦めかな。 そう言えばどれも色に関係してる。
年末年始は帰省せずヒマなだけに連続TVとか小説をいくつかみました。 また書きます。